膝蓋骨脱臼に負けない身体をつくるために(前編)

2020.06.17

こんにちは!

 

本日は膝蓋骨脱臼(パテラ)について少し。(前編・後編あります。)

 

 

小型犬、多いですね。

トイ・プードル、チワワ、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、

マルチーズ、ポメラニアンあたりはほとんどの子が膝外れやすいですね。

 

あと、意外に柴犬も多いかな。

 

 

膝蓋骨脱臼(パテラ)は簡単に言うと膝のお皿の骨がくぼみから

内側/外側のどちらかにずれる・外れる関節病です。

 

膝は筋肉や靭帯、関節包によって支えられていますが、何らかの原因で膝関節が緩み、

本来正面で安定すべき膝蓋骨がずれることによってスムーズに屈伸できない状態になると、

それは膝蓋骨脱臼です。

 

グレードがあって、大雑把に言うと、

人為的に外そうとすれば外れるが日常生活にほぼ支障がないグレード1から、

常に外れていて自力で戻すこともできず歩行困難なグレード4まであります。

 

 

小型犬のほとんどがグレード1の状態で、

2の状態の子(時々外れるが足を伸ばしたりして外れた関節を自力で戻せる)もなかなか多く、

3の状態の子は稀に見ますが少し動かすだけでコキコキと簡単に外れます。

 

3の状態の子でも痛みはあまりなく、もう慣れてます~みたいな感じなのですが、

足を上げたままになったりしてかわいそうので、かなり美容時に気を使います。

 

 

グレード3と4は、はっきり言って日常生活にかなり支障をきたすでしょう。

この状態ともなると、お医者さんのご指示・ご提案を聴きながら治療が必要となると思います。

 

 

しかし、グレード1や2の状態であれば、飼い主様のご意識とワンちゃんの生活環境の整備などで

ある程度快適に過ごすことができ、2の状態の子が1になり、1の状態の子が

ほとんど外れなくなるレベルまでもっていく事も可能です。

 

 

言い換えれば、何の対策もされずに過ごされるとグレードが上がってしまう恐れがあります。

全く嬉しくないグレードアップですね。。。

 

 

 

さて、我が家のトイ・プードル、へちまも膝弱めでした。

 

 

↑  ちびへちまです。  まあ、ちびへちってやつです。(生後3か月弱)

 

 

仔犬の時から膝が弱く、コキコキ、カックンと外れてる時もありました。

 

よく走り、よく跳ぶ元気印でしたが、自分ではしゃいでいる時は外れないのですが、

後ろ足の引きも弱く、抱っこして腕に収まる時にカックンと音がしたり、

美容作業中にコキコキ音がする、そんな子でした。

 

恐らく先天的に少し外れやすく、グレードでいうと2寄りの1か、2の状態だったと思われます。

 

 

そんなへちまちゃん、今ではほとんど外れません。

 

グレード1くらいに収まったかなぁと思っています。

 

 

では一体何をしたのか、どんなことを意識したのか、というのをこれから書いていきますので、

愛犬の膝が弱くてお悩みの飼い主様に少しでもお役に立てればと思います。

 

 

 

1.適度な運動(激しくない程度のランニングなど)

 

 

犬は4本足で、人間より走ることに特化した身体の構造をしています。

 

 

小型犬を購入するときに、お店の生体販売スタッフから

 

「この子はお散歩なんてしなくて大丈夫。小さな子なので、お家で遊ぶだけで十分な運動になります。」

 

と言われた、というお話を飼い主様から伺うことがよくあります。

 

残念ながら、この台詞がご購入の決め手になった方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

しかし、これはどうかなぁ~と思います。

どう考えても、そんなはずないでしょう。

 

 

お散歩も朝何時・夕方何時・夜何時などと決まった時間に行かなければいけない、

ということはありません。

 

とにかく短い時間でも、飼い主様自身のペースでも良いので、連れて行ってあげたいタイミングで

お外に連れ出して適度に楽しく走らせてあげてください。

 

全くお外に出さない、というのは色々な点からちょっとどうかな、と思います。

 

 

安全な道であれば、生後6か月くらいからなら少しずつ自転車で引っ張って走らせてもいいと思います。

くれぐれも気を付けながらですが。

 

 

へちまもチャッチャカ、チャッチャカ走ってました。

よっぽどコミカルなのか、道行く人によく笑われました。

きっと良い意味で笑っていただいていると信じて(笑)、自転車で軽く走らせてました。

 

 

スピードは要りません。

軽いランニングを短めの時間で十分です。

 

やり過ぎは絶対禁物です。

 

 

もちろん、この運動は膝蓋骨脱臼のグレードが1か2までの子に限ります。

 

3か4の状態の子はやめてあげてください。

悪化します。

 

その状態の場合はお医者さんにご相談し、治療に専念しましょう。

 

 

 

さらに、しつけとして、基本的にお散歩時にリーダーウォークが出来ている前提でのお話です。

 

リーダーウォークができない関係性の場合、自転車を使うのはかなり危険です。

 

自転車なしで一緒に走るだけでも、無駄に興奮し、危険な散歩の癖がついてしまいます。

 

 

まずは生後4か月(ワクチン終了)~生後5か月までに通常時のお散歩で

リーダーウォークができる関係性を築いてください。

 

それから適度な運動をさせていくように段階を踏みましょう。

 

 

 

このランニングで筋肉がしっかりし、冒頭で述べたように鍛えられた筋肉が

膝を支えてくれやすくなるということがご想像できると思います。

 

膝の周囲に、外れにくくしてくれる組織をつくるというわけです。

 

 

当然肥満も防げますので、体重が増えることによる膝関節への負担も軽減されます。

1歳まではどんなに食べても栄養は成長に使われますし、吸収しきれないと下痢するばかりで

太るということはなかなかないと思いますが、運動をすることで適度に筋肉は発達します。

 

 

しっかりとグリップのきく地面を、適度な速度で走らせてあげる。

 

適度であれば、心肺機能も鍛えられます。

 

先述しましたが、やり過ぎは絶対ダメです。

 

可愛さ余って勢いで全力疾走させてしまいがちですが、我慢しましょう。

 

心臓にも負担が掛かるし、膝関節などにもかえってダメージがかかってしまいます。

事故のリスクも出てきますから、くれぐれも気を付けてください。

 

 

そして、膝関節にダメージがかかるといえば、室内での運動は要注意です。

 

 

 

2.フローリングなどの滑る床ではしゃがせない/滑らせない工夫

 

 

フローリングで走り回るのは絶対ダメです。

 

滑り過ぎるため、蹴った後ろ足が空を切ることで膝関節に大ダメージです。

 

普段から滑り慣れてしまうと、滑らないように歩く習慣がついてしまうので、

関節をあまり動かさない固い歩き方になってしまいます。

アイススケート初心者みたいな感じですね。

 

後でお話しますが、こういった歩き方は爪の伸び方などに影響を及ぼすので、要注意です。

 

 

ですので、室内で仔犬を飼う場合はパズルみたいになっているタイルカーペットを

その子の行動範囲に敷き詰めることをお勧めします。

 

 

ご自宅に迎え入れたタイミングでは恐らく、おしっこトレーニング中だと思うので

当然シーツの上ではいきなりできず、粗相することもあるでしょう。

 

タイルカーペットを敷いていれば、おしっこされた箇所だけ外して洗えるため非常に便利で衛生的。

 

なおかつ滑りにくいため、まだ骨格がしっかり形成されていない仔犬の時の関節に

悪影響を与えにくく、仔犬自身も目いっぱいはしゃげます。

 

ワクチンがまだ打ち終わってなくて、お外に出れなくても

ストレスを発散できて、ご飯もしっかり食べてくれやすいでしょう。

 

 

へちまも元気いっぱい遊んだときはよく食べて、よく寝てました。

 

 

そして、爪が伸びすぎないようにマメに爪切りをする(病院か美容室で)。

足裏の毛が伸びて肉球にかかっているならば、足裏の毛も刈ってあげる必要があります。

 

足裏の毛が伸びたままだと、体育館を靴下で走り回るような状態です。

危ないですよね。

 

 

とにかくグリップが効かないといけません。

 

 

仔犬の頃にうっかりしていて、これらの足先のケアを怠ると色々なトラブルが起きます。

 

 

爪は一緒に血管や神経も後から付いてきて伸びます。

 

仔犬のうちは爪から先に伸び始めるので、幼い頃から早めの間隔で切っておけばなかなか短く保てます。

まだ血管や神経が追い付いていないので出血もしづらいし、痛みもほぼ無いでしょう。

 

爪切りの間隔は、仔犬の時期だと月1では空きすぎだと思います。

2~3週間の間隔で切ってもらうのが理想です。

 

 

しかし、放置していると爪は地面に接するため、伸びに限界があり、

肉球側に巻いてくるか、削れるかのどちらかになります。

 

あまり爪を切らなくても、運動をたくさんしている場合は削れて短くなっている印象があります。

 

よくお散歩に連れて行ってもらっているのか、筋肉質で元気な子は

先に述べた様々な要因が良い方向に働き、滑ることを恐れずに歩けるため、

歩様も綺麗で普通に歩くだけで爪も自然に削れてくれます。

 

 

これが自然な状態です。

ペットじゃなければ、普通は誰も爪なんて切ってくれません。

 

ただ、地面に接さない狼爪がある子は巻かないように気を付けてあげてください。

 

 

運動をあまりせず、お家のフローリングなどでカチャカチャ滑ってる子は爪が巻いているイメージです。

 

爪が巻くと地面に接さないため、神経と血管が一緒に付いてきて伸びます。

 

こうなると少し切るだけで出血し、神経も通っているため痛がります。

分かりやすく言うと我々の爪のピンク色の部分が爪と一緒に伸びてきて、

それも一緒に切られるようなものです。

 

少ししか切っていないのに、深爪というめちゃくちゃ痛いことになるわけです。

 

そうなると、爪切りが苦手な子になってしまいます。

 

 

ですので、ワクチンが終了していなくても、病院や美容室に相談し、爪を切ってもらいましょう。

 

 

そして、足も水かきのように開いた握りの弱い足になります。

 

運動をしっかりしていれば、爪も伸びすぎず、握りの強い足先になります。

 

もちろん運動能力が高いのは握りの強い足を持った子です。

 

 

 

 

話が逸れてしまいましたが、このように運動不足は様々なトラブルの要因となります。

 

膝蓋骨脱臼と一生付き合っていかないといけない子を迎え入れた飼い主様にとっては

仔犬のうちから上記した生活環境を整備すること、

ここに意識をお持ちになることが非常に重要です。

 

ざっくりまとめると、

小型犬であっても

 

・適度な運動(軽いランニングなど)をさせ、足腰をしっかりさせる程度に筋肉をつける

・お家での環境も行動範囲の床は滑らない工夫をしてあげる

・愛犬自身が滑らないように、爪を短く保つ、足裏の毛も滑らないようにカットする

 

ということです。

 

 

 

へちまも色々と気を使いました。

 

でも、元気に健康に二十歳まで一緒に暮らしたいので、できる限りのことをやっています。

 

 

 

 

今回は長くなったので、続きは後編にて。

 

前編は生活環境の整備と、どういったことを意識し、注意すればいいのかをお話しました。

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

後編は食生活をメインにお話させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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